映画館から広がる交流の輪
2002年に
「深谷シネマ チネ・フェリーチェ」を開設しましたが、当初は
NPOとして深谷の街づくりをどうしようという会議の中で
「空き店舗を利用して映画館を作れないか」という提案を出したわけです。具体的には
中心市街地活性化計画に基づく
「深谷TMO構想」という会議です。行政と協働する事は補助金などのサポートを得るためにはなくてはならない問題なのです。もちろん私は
映画とは儲けるためのツールではないと思っています。
映画はみんなのモノだし、みんなの文化であり芸術だし、つまり公共性があるものだ、というのが私の考え方です。
非営利であったほうが映画にはしっくりくるのです。けれども何をするにしても先立つものはお金ですよね。今回は少し台所事情をお話します。
基本の運営は
NPO法人ですから、お金もうけはできません。これは誤解されやすいのですが、
NPO=特定非営利活動法人であるからといって活動費が0ではありませんし、NPOである事で補助金などは出ないのです。法人格という事業体に認定されるだけです。ですからまずは
行政(市・町)が街の活性化基本計画などを作ります。寂れた街、シャッター商店街をどうやって再生するかを考えるわけです。ここまではどんな街・村でもやります。問題はここからで、それを
組織化して具体的に事業として立ち上げて行こうとする事は少ないのです。これが
「深谷TMO構想」で明文化されて始めて動き出します。街づくりというきちんとした目的のために行っているNPOだから行政も支援してくれるのです。
つまり
市民と企業と行政がタッグを組んで出来た街の映画館として
「深谷シネマ」は完成したわけです。NPOと行政がきちんとタッグを組んでやろうというのは私たちの
テーマでしたし、行政が応援してくれないのは実は致命的ですから。お金の話が続きますが、
収入は入場料だけですから1,000円×50(キャパ)×4回/1日で、仮に毎回満員なら売上げは約20万円/1日ということになります。月なら×30日で・・・おお600万円もあるぞって、思うかもしれません。そんな毎日満員の訳ありませんよ(笑)。初めの頃は
お客さん0人なんて回も珍しくなかったんです。一応
休館日はないんですけれど。
さてまずは
改装費です。
「深谷シネマ」は統廃合によって5年間閉鎖されていた銀行の建物を使おうという訳ですから、もちろんそのままでは映画館にはなりません。この銀行の建物を
市が借りるという形でOKになって、
管轄は商工会議所&運営はNPO、この形作りが大切です。結果、国と県(埼玉県)からの
800万円程度の補助金が出ました。これは全額、改装費になりました。
次に
設備投資もあります。具体的には
スクリーン・映写機・音響機器・椅子などです。
「深谷シネマ」はこれらの備品は
全部中古品で賄っています。じゃあその費用は、市民と地元企業からの
「シネマ基金」に頼りました。早い話が
寄付ですね。
「こういう映画館作りたいけどお金がない、これだけ設備費が掛かるんで寄付お願いします」という訳です。神社とかでスポンサーのお札がずらっと並んでるでしょう、あれを真似て上映室の壁に寄付してくれたお店や個人の方の名前をずらっと並べて貼ってます。機器類・備品全部で
300万円位集まりました。
前に
スタッフ二人は2年間無給と言いましたが、人件費が0という事です。そうは言っても
フィルム代は払わなくてはいけないし、
場所代は(建物は市の持物なので)
家賃として約18万円を商工会議所に払います。だから最初は厳しかったです。そんな時期はお客さんや商店街からの差し入れが嬉しかったですね。あとは開店2年目からは
「興行組合」に加盟したことで、
フィルムの調達がスムーズになり少しづつ採算も取れるようになってきました。きちんと事業目的として活動して、収支が多少プラスになれば少し人件費を上げたりもしたいのです。まともな経営をしないと継続ができませんので、意味がないんです。
現在では上映作品や時期による波はありますが、1日の来場者約80人、1ケ月2500人が見込めるようになって、ようやくスタッフとアルバイトの人件費が出るようになったところです。何度も言いますが行政や市民との協働が大変重要で、NPOとしてきちんとした事業をするからこそ行政のフォローや特典(家賃が安いとか)も受けられるのです。この市民映画館は街づくりの一つの成功事例として新聞・放送・情報誌などのメディアや経済産業省も認識してくれています。成功とかいわれると恥ずかしいんですが、何とか6年頑張ってきましたが、まだまだやることは多いし、先になるかもしれませんがいつか「深谷シネマ」を2スクリーンに出来れば、とも思っているのです。
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