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北村尚幸さん 村歌舞伎の保存と伝承&美しい村を目指して - 趣味遊遊

北村尚幸さん(きたむら ひさゆき)プロフィール
きたむらひさゆき 昭和35年(1960年)長野県下伊那郡・大鹿村生まれ。
高校を卒業後は奈良での刀鍛冶修行時代をへて20代前半に故郷へ戻り、以来、大鹿村在住。
大鹿村役場の広報などを経て、現在は大鹿村の教育委員会・事務局に所属。
また大鹿歌舞伎保存会にも所属し、村の伝統芸能である大鹿歌舞伎の保存・育成・広報活動に忙しい毎日。

(「大鹿村役場HP」)



歌舞伎の魅力~これからの10年・地域資源


大鹿歌舞伎をどうやって保存・育成・伝承していこうかと考えるとき。力強いものに中学校の歌舞伎クラブの存在があります。

これは昭和50年当時、村の鹿塩(かしお)中学校に誕生したもので、現在ある大鹿中学校に受け継がれています。
村の大鹿歌舞伎保存会では彼らに指導もします。毎年秋にはお年寄りを招いて公演も行なっています。歌舞伎クラブ出身者はもうのべ200人以上になります。
もちろん高校生になると1度は村を離れる人も多いのですが、村に戻ってきた時はその経験が村にとっての大きな財産となるはずです。
希望はあるもんです。実は前沢修(まえざわおさむ)さんという大鹿歌舞伎の昭和50年代から平成にかけての名優がいたのですが、そのお孫さんがまだ20代ですが頑張ってくれています。

この写真は大鹿村の公民館に保存されている大鹿歌舞伎の衣装(約500点)・帯(600点)・小道具(槍、刀、カツラ他)などです。購入したものがほとんどですが、これが大鹿村の財産なのです。


▲大鹿歌舞伎、衣装棚

▲小道具倉庫

歌舞伎で最も有名な演目は弁慶の「勧進帳」でしょうか。
始めての天覧歌舞伎も勧進帳だったと記憶しています。でも良く考えると勧進帳って女形は出て来ないんですよね。富樫と弁慶と義経のメイン三人は男性です。
陛下がご覧になるので、弁慶が忠義を尽くす清廉潔白な内容の歌舞伎一八番をお見せしたのかもしれません。

そもそも、歌舞伎は庶民の中で培われてきた文化です。その真骨頂とは「ぐちゃぐちゃ」だったり「猥雑」だったり「下ネタ」にあるんじゃないか・・・と思うのです。
多少言い方が乱暴ですが、「感情表現の激しさ」みたいな部分にこそ歌舞伎、あるいは古典芸能の面白さがある気がするのです。これが芝居の面白さです。

しかし村の過疎化を考えると前途は厳しいです。
なにしろ、若者がいません。村の人口約1200人の内、消防団(青年団)など本来現役は40歳までの人員で構成すべきところが大鹿村には30人もいないのです。
仕方がないので祭事の時などどうしても人が必要な場合は、私のような40代もお呼びが掛かります。
一時期、この町村合併の流れの中、大鹿村でも隣の松川町と・・・という案もありましたが、村民投票で6割は自立の道を選びました。村の伝統と自立を維持したいと考えました。4年前のことです。

自立の道を選ぶのであれば、村にある産業を生かして流動人口を増やす事が重要になります。
村歌舞伎のような伝統芸能も含めて、村の地域資源をどういう風に活用していくか、このことがシンプルですが最大の課題ではあります。
何処で聞いたのかわかりませんが2年ほど前からオーストラリアのエコ・ツーリズムというんでしょうか?20~30人規模の熟年のツアー観光客の方たちが大鹿村を訪れています。また村にはもう17~18年住み着いているイギリス人の人も居ます。そういえばパン屋を開くために移住予定の方もいました。

現在大鹿村ではいろんな理由で空き家になった物件情報は斡旋しています。古民家をリフォームして住みたい、なんて人はいいかもしれません。
この記事を含め何かで大鹿歌舞伎の事を知って、自分も舞台に立って演じてみたいな、とか村に住んでみたいと思った方は大歓迎しますよ。
大鹿村は一般的な閉鎖的な村と違って、いつでもウェルカムです。出来たら子供がいる人、作る可能性のある人がいいですね(笑)
あと大鹿村は基本的には夏型観光地なので、冬は平日は閉めている宿もあります。
それでも桜や紅葉シーズンは自然が素晴らしいですし、ブルーベリーや中尾早生(なかおわせ)と呼ばれる大豆で出来る豆腐・味噌などの特産品、鹿塩温泉・小渋温泉と2つの温泉、そして重要文化財も実は数多くあるのです。山登りや釣りをするお客さんも多いですよ。
立場上、宣伝もしとかないと(笑)

ちょっと話が飛びますが、ここ5~6年、私も渓流釣りに凝っているんですよ。ヤマメとかイワナとか純ネイティブ系ですが。ブラックバスはいないということです。
渓流釣りはほぼ一人なので、完全に没頭しますね。時間という観念が薄くなっていくというか、現実逃避というか。
松本に犀川という川があって、安曇野の公園があるんですが、ニジマスとか養殖が盛んなところで、ものすごい大物がいるんですよ、50~60センチとか。
去年はそこに入り浸ってましたね。思うに歌舞伎でも関っていないと自分も引きこもってしまう傾向が出てきたと感じているんです。人とのコミュニケーションが希薄になるとでもいいますか。


▲交流センターにある大鹿歌舞伎の名優写真

私は今年、年男です。変な話ですが干支があと一回りすれば次は60歳という訳です。だからという訳ではありませんが
これから先の約10年が、大鹿歌舞伎にとっても村の発展にとっても勝負の時期かな、と勝手に考えています。自分がどれだけの事が出来るのか。
村歌舞伎も企画・運営だけならまだ楽ですが、演者でもあるし、指導もする。だからこれからの10年で私の後釜も探さなくちゃならないんです。
観光客が増えてくれることもとってもありがたいことではありますが、本当に大切なのは実は村の人口が増えることだと想っているのです。
増やすためにはどうすればいいのか、頭を絞ってアイデアを出さなければと思っています。
ここは本当に美しい村なので、ここに暮らしいい空気を吸うことが素晴らしいと感じて、住んでくれる人を増やすことが役場のものとしての努めでもあります。
みなさん「きてくださーい!大鹿村へ」

大鹿村、村歌舞伎 概略←最初から読む

 
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