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北村尚幸さん 村歌舞伎の保存と伝承&美しい村を目指して - 趣味遊遊

北村尚幸さん(きたむら ひさゆき)プロフィール
きたむらひさゆき 昭和35年(1960年)長野県下伊那郡・大鹿村生まれ。
高校を卒業後は奈良での刀鍛冶修行時代をへて20代前半に故郷へ戻り、以来、大鹿村在住。
大鹿村役場の広報などを経て、現在は大鹿村の教育委員会・事務局に所属。
また大鹿歌舞伎保存会にも所属し、村の伝統芸能である大鹿歌舞伎の保存・育成・広報活動に忙しい毎日。

(「大鹿村役場HP」)



大鹿歌舞伎保存会の苦労~美しい村とは



大鹿村という小さな村で、村歌舞伎の伝統保存に頑張っているのは何となくイメージしていただけたでしょうか。
まあ大鹿歌舞伎はおかげさまで割りと有名になったので、映画の舞台になったり、村がテレビやマスコミに取り上げられる事も段々増えてきました。
でも定期公演は年2回だけですし、それも新聞記事では2000人の観客とか書いていましたが、誰もわかりませんよそんなもの、だってオープンスペースなので誰も数えていませんから(笑)

ここでちょっと村歌舞伎保存会のお話をしてみようと思います。

(財)村歌舞伎保存会は昭和61年に発足しました。やはり伝統ある村歌舞伎を何とか保存・伝承していきたいという事で発足しました。しかし、現在は大きな問題を抱えています。
大鹿村は小さな村ですので、ご他聞に漏れず「少子・高齢・過疎」の問題は避けて通れません。江戸時代は年貢も木で納めたくらいで、林業が主産業の山深い山村ですから。
村の人口は大体1200人位と言いましたが、20代以下は現在100人以下です。これとて住民票レベルの話ですから実際はもっと少ないかもしれません。
村には小学校・中学校までで高校がないので、子供たちは高校生になると近くの町の高校まで通うか、下宿を余技なくされます。
だから住民票はあっても、実際には住んでいないというケースもあるのです。
通うといっても1番近い飯田市まではバスと電車で1時間半はかかります。電車は単線だし、バスも赤字続きで廃止が検討されるのを村の予算で補填する状況ですからなんとか動いているという状況がご理解いただけると思います。
実は私の娘もふたりとも中学生なので、学校をどうするか切実な問題です。


▲大鹿村を流れる小渋川、最奥は赤石岳
現在、村歌舞伎保存会のメンバーは30人ほどです。私が40代で、20代の若者も少しいますが、50代が0人です。(最高年齢85歳、最低年齢20歳)おそらく、高度経済成長時代にみな村の外にでていってしまった影響だと思います。
歌舞伎なんて封建的で稽古しなくちゃならないものはイヤ、青年会も面倒、カラオケでも行った方がいい、山の中だと仕事がないから都会へ・・・・という訳です。
経済戦士は歌舞伎などやっているひまはなかったのでしょう。
保存会のメンバーは私もそうですが全員、いつもは他に仕事もある訳ですし、このメンバーで村歌舞伎のレパートリーをこなすのは結構大変です。
やはり伝統を保持する~奉納芝居を残すためには、若者の存在は絶対必要なのです。

定期公演が近づけば舞台の設営・衣装の準備もしなくてはなりません。演目を決定したら個人の稽古、指導もしつつ、2ヶ月くらい前になれば通し稽古もしなくてはなりません。
終わったら片付けもありますし、慰労会もはずせません。協力してくれるスタッフは1人何役もこなさないと回らないのです。
しかもこれらはほとんどはボランティアです。入場料タダ・・・ですからね。ただし衣装を購入する場合もあるし、準備や片付けの方には謝礼を払う人もいます。

じゃあ運営はどうしているかと心配になるかもしれません。頼みはご祝儀です。お祭りのときに「○○商店、金壱万円」とかありますよね。
個人の方ですと5千円から1万円、企業ですと2~3万ってところでしょうか。いろいろな方からの善意の寄付によってようやく成り立っているのです。
あとは演目の最中の「おひねり」ですかね。白い紙に包んだ小銭(お札でもOKです・・・)が役者めがけて放り投げられる訳です。
収入は全体で公演1回で100万程度でしょうか。当然ご祝儀だけでは足りない部分も出ますが、村の予算から補填する事もあります。
まあ村長が保存会の理事長でもありますし、村の皆さんのご理解を頂いた上で、という事です。


▲大鹿歌舞伎、秋公演

このように、村歌舞伎の公演に関しては非常に毎回厳しい状況が続いている訳です。
ましてや受け継ぐ若者も少なくなっていけば、ますます厳しい状況になります。なんとかしなければというのは、誰もが思っていることです。
しかし、村人が全員同じ立場でものを考えているわけではありません。
歌舞伎をメインに観光立村を推進するといっても、例えば<保存会><観光協会><村役場>などそれぞれの立場で微妙に意見も違ってきます。
大鹿歌舞伎も公民館などのホールでの公演にしたい(有料にしたい)、いや野外でやるからいいんだ、とか。もっと公演回数を増やすべき、いやダメだ・・・・・などなど。
正直なところ、私は冬の公演はやりたくありませんでした。歌舞伎は純粋に保存のためにやるのであって、一部の人の利益ではいかがなものかと思ったのです。



ただし最近では少し考えを転換しようかと思っています。というのは歌舞伎を保存・伝承するためには歌舞伎を上演する事が最低条件だろうと。
それなら上演回数を増やす事は保存・伝承を支えていく条件だろう、という意味です。まあ負担は大きくなりますので痛し痒しですね。
それぞれ意見が違っても、村のためになるなら、という点ではみんな一致しているのが嬉しいですね。これが一番です。
大鹿歌舞伎は村の大切な財産です。この財産をどうやって保存・伝承していくか、それが私たちの使命だと思っています。
大鹿村自体の開発の問題とのバランスとかと合わせて、考える事は山ほどあるのです。

参考までに前に触れた「日本で最も美しい村」連合~全国11町村をご紹介しておきます。

●北海道 美瑛町(びえいちょう)、標津町(しべつちょう)、赤井川村
●山形県 大蔵村(おおくらむら)
●長野県 木曽町 開田高原(かいだこうげん)、大鹿村
●岐阜県 白川村(しらかわむら)、下呂市 馬瀬(まぜ)
●徳島県 上勝町(かみかつちょう)
●熊本県 南小国町(みなみおぐにまち)
●宮崎県 高原町(たかはるちょう)

続きを読む⇒刀鍛冶の修行時代

 
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