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九里保彦さん ヨットと海と人との出会い - 趣味遊遊

九里保彦さん(くのり やすひこ)プロフィール
くのりやすひこ昭和16年(1941)横浜市南区生まれ。
住まいは横浜市、横須賀市、と変わり現在は葉山町に在住。
昭和41年老舗書店の有隣堂に入社。店売・外売・企画・宣伝畑を経て、取締役、常務取締役を歴任後、2003年にリタイヤ。
以後は2002年に購入したヨットクルーザーの係留地である西伊豆と自宅の葉山と半々の生活を送る。
ヨットでの航海のほかにウクレレ、水彩スケッチ、トローリング、お魚料理、茶道などで忙しい日々を送る。

(「あうんの日記」)






僕のヨット「あうん」~ヨットの基礎知識

実は今年、僕にとっては大変なイベントが終わったばかりなんですよ。沖縄までこのヨットで1人で往復したんです、4月~8月まで約4ヶ月かかりました。
僕のヨットは‘あうん’って名付けたんですが、今年で5歳。この船はロングクルージングに耐えられるように設計してあるので、自分自身の記念イベントとして「良い機会だな」と思って実行しました。準備に半年くらいかけてね。まあこの話は詳しくはあとでします。

リタイヤしたのは2003年だから4年前かな。有隣堂という本屋さんに勤務していて、辞める前の年(2002年)にこのヨットを進水しました。
林賢之輔さんという有名なヨットデザイナーの人がいるんだけど、その人が高校時代のラクビー部の
先輩だったこともあって設計してもらい、これが1号艇になった。

1号艇というのは、洋服でいえば<つるし>じゃなくて、オーダーメイドということ。設計に2年、建造に1年かかりました。この型をベースに 細かいセッティングを変更して2号艇、3号艇・・・・と姉妹艇が作られていきます。という事で今では‘あうん’の姉妹が全国に9人位いるんです。


▲あうん

長さが32フィート(9m90cm)、横幅は一番広いところが3m15cm、重さは6トン弱、ヨットとしては日本では中型くらいかな。一人でも操船しやすい船なんです。
最高6人までは宿泊も出来る。台所・トイレはあるけど、お風呂シャワーは水タンクの容量から、さすがにないけどね。
‘あうん’は「クルーザー」(外洋ヨット)です。風を使ってセール(帆)航行もするし、エンジンもついているタイプです。林さんの傑作で、ロングクルージング仕様に設計されたので、耐航性は抜群。それでいて、スピードも割合速い。基本コンセプトは「腰が強く、4人が無帰港で1週間走ることが出来る設備を持った船」です。

とはいうものの、初めに言っておきたいのは僕はヨットマンとしてはビギナーもいいところ。
ヨットというと皆、加山雄三さんとか堀江謙一さん*とか想像しがちだけど、 ぼくは足元にも及ばない。危険や冒険をしないで好きなところへ行く、海や船が好きで行ってみたい所も切りがないほどあります。でもヨット界には素晴らしい実績をもった方々が 数え切れないほどいる。
僕の場合はヨットが海を航くセカンドハウスなんです。だからヨットの中で、音楽会もやれば、パーティー、お茶会もやる。ヨットマンといわれると‘やばいな’と思っちゃう。(笑)
*堀江謙一;海洋冒険家。
 1962年にマーメイド号による太平洋単独航海、1974年に林賢之輔さんが設計した「マーメイドⅢ」で
 単独・無帰港の世界一周などを達成。
 主著の「太平洋ひとりぼっち」は石原裕次郎の主演で映画化される


ここで、ちょっとヨットの基礎知識をご紹介します。


▲コックピット
ヨットって一口に言っても実は様々な分類の方法があるんです。
手漕ぎの小船に帆をつけたものから、数千トンの汽船まで。
帆があるかないかという形の分類ではなく、船の目的で分けられている。簡単に言えばヨットは遊びのための船のこと。船室のない小型のヨットは 「セールボート」とか「ディンギィー」と言われていることが多いけど、一般的にはセールで走る船という意味で使われています。
ただセールがない船については居住スペースがある大型のものを「モーター・ヨット」、小型は「モーター・ボート」と言って、セーリングヨットと区別しているんです。
セーリングヨットも持っている機能から一般的には2つに分類されています。
一つは前述のディンギィー(小型ヨット)。船室がない小型ヨットで、日中だけ沿岸を帆走できる。

船体の構造も水面下にバラスト(おもり)がない。
もう一つがクルーザー(外洋ヨット)。船室の設備がある比較的大型のヨットです。船体の水面下には原則としてバラストをつけていて、倒れても自然に復元する性能を 持っている。この二つの違いは原則的な違いだけど、帆走の原理や走らせ方は一緒です。‘あうん’には約3トン近いキールがついている。


▲キャビン(船室)内部
「キール」とは、海中で下に向かって延びているひれ、といったらわかりやすいかも。ヨットではこのキールが非常に大切、これで船の横揺れを防ぐためと、復元性を保つために船体の下部に鋳鉄や鉛のバラストをつけている。これがあるおかげで、例えば風が強くて船が傾いて、帆が完全に横(つまり90度)に倒れても元に戻る。90度以上で逆さまに 近くなっても(実験データでは130度近くまで)、これのおかげでぴょこっと元に戻るんだ。起き上がりこぼしを考えるとわかる。安定感は抜群だね。

つまり、このキールで船のバランスを保っている。ところが問題が1つ。この下に延びるヒレのおかげで、例えばこの‘あうん’が港に入る場合などは 喫水線(水面)から水底までの距離(海の深さ)が1m75cm以上必要な訳です。少なくも2mくらいの深さがないと危ないんだ。勿論、港以外も同じ。
もし浅かったら?入港不可能。
気づかなければ、そりゃ座礁だね、僕も実は何回か危ない目に遭っている・・・・・(笑)
小さなヨットやモーターボートだとその心配は少ない、というか例えば浅瀬や自然の浜辺でも接岸出来ないことはないというのがモーターボートの特性。珊瑚礁でもね。
だから、モーターボートや漁船が通れるからと言って、ヨットが通れないこともある。
でもヨットには良いこともあります。モーターボートは燃料が切れたら漂流してしまうけど、ヨットは風で走るから、漂流してしまうような心配はない。
ヨットのエンジンは主に入出港時に使うことが多いと考えると理解しやすいでしょう。


▲港湾案内
クルージングに出ると港に入るわけだけど、港がどのようになっているかという事前調査が非常に大事です。
港に進入するコースでもここはOKだけど、ここはダメとかいろいろあるんだ。
日本全国の港の解説書「港湾案内」は重要なアイテムです。

ヨットの速さがどれくらいって、意外と遅いよ。自転車くらいかな。時速で5マイル、つまり約9km。風の強い時に頑張って走って8~9マイル(約15~16km)位。
*海のマイルは1.852km、陸のマイルは1.609km
例えば、‘あうん’のホームポート(係留港)は西伊豆の安良里にあるんだけど、
そこから自宅に近い葉山港までは80マイルあり、1泊2日かかる。
風や波の条件ではノンストップでも走れない訳ではないけど、ゆとりがなくて。
夜に港に入るのは危険だから。昨日はだいたい6時間で下田(伊豆半島の突端)に到着、一泊して、
そこから葉山までは11時間かかった。エンジンはディーゼルエンジン。満タンで90リットル入れて大体80~90時間は走れるかな。もちろん予備の40リットルタンクもあるけどね。
海の上でガス欠してもスタンドがない
から港は大事だよ。ロングクルーズで港に到着すれば、水の補給・燃料補給・洗濯・買物とやることは山ほどある。(出来れば風呂も欲しい)というのは心の声です。

続きを読む⇒ヨットとの出会い~免許・船の装備のはなし

 
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